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糖尿病は早期発見・早期治療が大切!!

『カルナの豆知識2010年10・11月号』掲載記事
(編集・発行:NPO法人 医療機関支援機構)

取材協力/辛 浩基 院長・しんクリニック
取材・文/松沢 実・医療ジャーナリスト


 
糖尿病に新たな診断基準―
ヘモグロビンA1cの測定値
を新たに導入

国民の6~7人に1人が糖尿病
糖尿病の患者は年を追うごとに増え、減る兆しがまったく見えません。 糖尿病予備群といわれる「境界型」は800万人を超え、糖尿病の患者は2000万人に達しようとしています。国民の6~7人に1人が糖尿病という現実は、恐るべき事態といわねばなりません。
「糖尿病は血液中のブドウ糖=血糖が上手に利用・処理されず、血液中のブドウ糖濃度が高まって、高血糖となる病気です」
簡潔にこう指摘するのは、糖尿病専門医としてその診断と治療の最前線に立つ、JR蒲田駅前の「しんクリニック」(東京都大田区)の辛浩基院長です。
「初めのうちは、ほとんど自覚症状がありません。しかし、次第に尿が多く出るようになったり、喉の渇きや全身倦怠感、痩せてきたりするなどの症状が出てきます。あるいは、症状がまったくないのに、網膜症や腎症、神経障害などの合併症が起こってくることもあります」
また、糖尿病は動脈硬化を進展させ、心筋梗塞や脳梗塞など生死にかかわる病気の原因との関連も明らかになりつつあります。まさに代表的な生活習慣病といえるでしょう。

ヘモグロビンA1cが導入された新たな診断基準
勢いづく糖尿病患者の増加に対して、日本糖尿病学会は今年(2010年)7月、従来の診断基準を改め、早期発見・早期治療のための新たな診断基準を打ち出しました。
「11年目ぶりに診断基準が変わりました。そのポイント=目玉は、過去1~2ヵ月の患者さんの血糖状態のレベルを示す、ヘモグロビンA1c(HbA1C)の値を診断基準に新たに加えたことです」
従来は、(1)早朝空腹時血糖値が126mg/dl以上か、(2)75g糖負荷試験の2時間後測定値が200mg/dl以上か、(3)空腹時や食後などにかかわりなく測った随時血糖値が200mg/dl以上の場合、「糖尿病型」と診断してきました。そして、別の日の2回目の再検査で、いずれかの血糖値(空腹時血糖値・75g糖負荷試験2時間後測定値・随時血糖値)が「糖尿病型」と診断されれば、最終的に「糖尿病」と確定診断されてきました。
「しかし、新たな診断基準では血糖値が『糖尿病型』と診断され、ヘモグロビンA1cが6.1%以上なら『糖尿病型』と診断し、両者の結果をあわせて最終的に『糖尿病』と確定診断する、と変更されたのです」
すなわち、従来は初回検査と再検査、別の日の2回の採血=血液検査で「糖尿病」と診断していましたが、新たな診断基準では同じ日の1回の採血=血液検査で「糖尿病」と 確定診断できるようなりました。これにより、糖尿病のすみやかな診断が可能となり、早期に治療が始められる患者が増えるだろうと期待されています。

 


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ヘモグロビンA1c6.1%以上は糖尿病型
これまではヘモグロビンA1cが 5.8~6.5%未満ならば、血糖のコントロールは「良好」とされてきました。その一方でヘモグロビンA1cが6.5%以上ならば「不十分」とされ糖尿病と判断されてきましたが、新たな診断基準では先述したように6.1%以上を「糖尿病型」と診断するようになったのです。網膜症の出現などとの関連を検討したところ、6.1%以上を「糖尿病型」と診断するのが妥当であると判断されたからです。
ただし、初回検査と再検査の両方 でヘモグロビンA1cが「糖尿病型」というだけでは、「糖尿病」と診断されません。それに加えて血糖値のいずれかの検査で「糖尿病型」と診断されない限り「糖尿病疑い」にとどまり、「3~6ヵ月以内の再検査」が必要と判定されます。

インスリンの分泌を促進するホルモン=GLP-1にかかわる画期的新薬
急増する糖尿病に対して、新たな治療薬も登場しました。DPP‐4阻害剤とGLP‐1注射製剤の2つがそれです。 
「DPP‐4阻害剤とGLP-1注射製剤は、いずれも食事をした後、小腸下部のL細胞から分泌されるGLPI-1(グルカゴン様ペプチド1)というホルモンに関係する新たな糖尿病治療薬です」
GLP-1は小腸の下部から血液中に放出され、門脈→肝臓→全身をめぐって膵臓へ行き着き、膵臓のβ細胞に働きかけてインスリンを分泌させるホルモンです。食後に腸管から放出され、膵臓のβ細胞に作用してインスリンを分泌させるホルモンの総称をインクレチンと呼びます。GLP-1は代表的なインクレチンの1つなのです。
「GLP-1は膵臓のβ細胞に働きかけてインスリンの分泌を促しますが、血糖値が高いほどインスリンの分泌量を増やす一方、血糖値が下がって低下するとインスリンの分泌量を減少させます」
つまり、GLP-1は血糖値の状態に即して、上手にインスリンを分泌させるところに大きな特長があるのです。

活性型GLP-1を増やすDPP-4阻害剤
GLP-1は血糖値の状態に応じてインスリンを分泌させる重要なホルモンなのですが、小腸下部から血液中に分泌されるや否や、その大半が分解され非活性型GLP-1へと変化してしまいます。
活性型GLP-1が活性を失い非活性型へと変化してしまうのは、同じ小腸下部のごく近くの血管の中に存在するDPP-4という酵素が活性型GLP-1を分解―不活化させてしまうからです。小腸から門脈、肝臓を通過するまでに当初の約20%に減少し、膵臓のβ細胞まで行き着いてインスリンの分泌を促す活性型GLP-1は約10%にとどまるといわれます。
「糖尿病の新薬として大きな注目を浴びているDPP-4阻害剤は、活性型GLP-1を分解-不活化するDPP-4(酵素)の働きを妨げる薬です。そして、膵臓のβ細胞へ行き着く活 性型GLP-1を増やすことで、インスリンの分泌を促進させる糖尿病治療薬なのです」
日本で発売されたDPP-4阻害剤の第一号は、昨年10月に厚労省から承認された「ジャヌビア(万有製薬)」(一般名:シタグリプチン)と「グラクティブ(小野薬品)」(同)です。次いで今年の1月に「エクア(ノバルティスファーマ)」(一般名:ビルダグリプチン)、6月に「ネシーナ(武田薬品)」(一般名:アログリプチン)が発売されました。

 

膵臓のβ細胞を増やすという画期的作用も
GLP-1を増やすDPP-4阻害剤は、糖尿病の画期的新薬と高く評価されています。
「第1にDPP-4阻害剤は、これまでのインスリン製剤やスルフォニル尿素剤(SU剤)などと異なり、低血糖を招きにくいという大きな特長があるからです」
低血糖は糖尿病の薬物治療中に、血糖値を下げすぎて生じる状態です。動悸や震え、脱力感などの症状に襲われるだけではなく、ひどいときは昏睡から死を招くこともあります。 
しかし、DPP-4阻害剤の服用によって増加するGLP-1は、高血糖のときはインスリンの分泌量を増やしますが、血糖値が低くなると膵臓のβ細胞に対する作用を弱めます。そのためインスリンの分泌量も減少し、低血糖が生じにくくなるという優れた調整作用を有しているからです。 
「DPP-4阻害剤が糖尿病の画期的新薬といわれる第2の理由は、GLP-1が膵臓のβ細胞の増殖を促す一方、β細胞の死滅を抑える作用を持っているからです」
これまでは膵臓のβ細胞が一旦減少すると、それを増やしたりする薬はありませんでした。β細胞の増殖が促されるのであれば、最終的に正常な状態に戻せる可能性も出てくるかもしれません。
「ほかにDPP-4阻害剤は、食欲を抑える働きや、心臓の心筋を保護する作用など二次的な付加価値、メリットのあることも判明しています」

DPP-4に分解されにくいGLP-1注射製剤
DPP-4阻害剤とともに糖尿病の新薬として期待されているGLP-1注射製剤は、小腸下部のL細胞から分泌されるホルモン=GLP-1と同じインスリン分泌促進作用を持ちながら、DPP-4によって分解-不活化されにくい構造を持った薬です。膵臓のβ細胞のGLP-1受容体に結合し、インスリンが分泌されること から、GLP-1受容体作動薬とも呼ばれます。
「日本では国内初のGLP-1受容体作動薬として今年の6月から「ビクトーザ(ノボノルディスクファーマ)」(一般名:リラグルチド)が発売され、8月には「バイエッタ(日本イーライリリー)」(一般名:エクセナチド)が、2番目のGLP-1受容体作動薬として厚労省から承認されました」
いずれもヘモグロビンA1cを強力に下げる効果のあることが、臨床試験によって確かめられています。ただし、DPP-4阻害薬と比べると吐き気や嘔吐などの副作用が少なくない、と報告されています。ビクトーザは1日1回、バイエッタは1日2回注射しなければなりません。


従来の経口薬と組み合わせ、より効果的な血糖コントロールを
現在、糖尿病の治療薬としてはsu剤をはじめ、a-グルコシダーゼ阻害薬、ビグアナイド製剤、インスリン抵抗性改善薬、速効型インスリン分泌促進薬などの経口血糖降下薬や、各種のインスリン製剤があります。それにDPP-4阻害剤とGLP-1注射製剤が加わり、薬物療法の幅が大きく広がったといえます。
「DPP-4阻害剤とGLP-1注射製剤は、適切に使用すれば切れ味の鋭く、かつ安全性の高い薬です」
今後はこれまでの経口血糖降下薬とうまく組み合わせ、より効果的に血糖をコントロールし、糖尿病性網膜症をはじめとする合併症や心筋梗塞、脳梗塞の予防に努めることが求められています。

辛浩基 院長(しん・こうき)
東邦大学医学部卒業後、同大学医学部附属大森病院第2内科入局、1997年「しんクリニック」開業。 日本内科学会認定医、日本糖尿病学会認定医。東邦大医学部内科非常勤講師、日本工学院専門学校理学療法科講師、蒲田医師会理事。眼科も併設し、糖尿病性網膜症の有無やその進行に注意を怠らないため、糖尿病で失明した患者は1人もいない。栄養指導教室や「しんクリニック歩こう会」という患者会では散策運動療法なども積極的に行っている気鋭の糖尿病専門医として広く知られている。

しんクリニック
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